Option市場の変調 ― 2012/06/03 06:49
ヨーロッパの混乱に加えて米国雇用統計が日経平均にも多大な影響を及ぼしてきました。ユーロは100円を大きく下回り10数年ぶりの円高水準、円ドルも78円まで来ています。
オプションのマーケットを見ていると、過去の下落相場に比べて何か変です。先日も書きましたがIVが一向に上昇しません。この点は米国のVIX指数も同様に思えます。
それに加えて、今週のオプション市場は売買がまったく盛り上がる気配を見せません。Putの売り手の投げでIVが急上昇という場面がほとんどありません。日経平均の下落のスピードに合わせてPutの価格が上昇しているだけです。
売買が盛り上がらないこの状況を数字の面から調べてみました。下のグラフは限月別のPutの出来高と売買代金です。
5/18以降はずっと低水準です。先週の金曜日でさえ5/18の半分以下にすぎないというのはちょっと驚きです。売り買いが活発でなければIVが上昇しないというのはもっともな話です。
リーマンショック以降の度重なる大きな下落相場に順応した投資家が早めに対応したのか、それとも、見切りをつけてオプション市場から撤退してしまったのか気になるところです。いずれにしても、過去の相場が参考にならない状況にあると考えておく必要がありそうです。
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「OPMargin」 オプションの証拠金の計算、シミュレーションがEXCELでできます。
有料ですが、日々の取引にとても有効なツールです。今日の証拠金はもとより、プライス・スキャンレンジが変わったら証拠金はどうなるか、時価情報をもとに今日の証拠金はいくらになるかというようなシミュレーションもできます。
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過去ログピックアップ、証拠金の理論的な説明や興味深い話題を集めてありますのでご覧ください。
Span証拠金、オプションに関する、ご質問等お待ちしています。一緒に研究、検証しましょう。証拠金管理プログラム「OPMargin」やExcel VBAの質問も待っています。コメント欄に投稿してください。
コメント欄は、投稿した時点では非公開ですが私の方で見ることができます。プライバシーに関わる事項が記載されている場合は、私へのメッセージとして扱い、公開しませんのでご活用ください。お返事は基本的に書いていただいたメールアドレス宛にいたします。また、公開、非公開のご希望があればその旨書いてください。
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証拠金予測 11:30 現在 ― 2012/06/04 11:54
予想を大幅に下回る米国の雇用統計を受けて日経平均は大幅に下落しています。
こうなるとオプション投資家にとっては今日の証拠金がどうなるか、追証にならないかが心配になってきます。
証拠金予測システム「OPMargin」を使って、今日の証拠金の予測をしてみました。
幸いにして、今日からプライス・スキャンレンジが42万円から36万円に下がっていますのでこれが多少証拠金の増加の緩和になります。
6月限月
|
|
|
|
11:30 |
|
権利行使価格 |
プット・コール |
現在値 |
6月1日 |
証拠金 |
差額 |
8,250 |
C |
120 |
610,800 |
418,600 |
-192,200 |
8,500 |
C |
25 |
409,100 |
277,100 |
-132,000 |
8,750 |
C |
4 |
295,500 |
187,500 |
-108,000 |
9,000 |
C |
1 |
212,200 |
114,200 |
-98,000 |
9,250 |
C |
1 |
137,500 |
64,000 |
-73,500 |
9,500 |
C |
1 |
79,300 |
36,900 |
-42,400 |
6,500 |
P |
1 |
19,000 |
19,000 |
0 |
6,750 |
P |
1 |
19,000 |
19,000 |
0 |
7,000 |
P |
2 |
30,100 |
29,900 |
-200 |
7,250 |
P |
3 |
59,300 |
56,300 |
-3,000 |
7,500 |
P |
6 |
109,000 |
104,300 |
-4,700 |
7,750 |
P |
11 |
179,000 |
172,200 |
-6,800 |
8,000 |
P |
32 |
260,000 |
260,800 |
800 |
8,250 |
P |
95 |
355,900 |
379,900 |
24,000 |
8,500 |
P |
250 |
497,400 |
576,400 |
79,000 |
8,750 |
P |
480 |
730,200 |
825,400 |
95,200 |
7月限月
|
|
|
|
11:30 |
|
権利行使価格 |
プット・コール |
現在値 |
6月1日 |
証拠金 |
差額 |
8,250 |
C |
290 |
712,400 |
561,700 |
-150,700 |
8,500 |
C |
165 |
514,100 |
392,100 |
-122,000 |
8,750 |
C |
85 |
372,500 |
261,600 |
-110,900 |
9,000 |
C |
40 |
258,300 |
172,300 |
-86,000 |
9,250 |
C |
19 |
179,200 |
111,800 |
-67,400 |
9,500 |
C |
10 |
118,800 |
73,000 |
-45,800 |
9,750 |
C |
4 |
78,000 |
42,700 |
-35,300 |
10,000 |
C |
3 |
53,700 |
30,300 |
-23,400 |
10,250 |
C |
2 |
33,800 |
20,700 |
-13,100 |
5,000 |
P |
6 |
23,000 |
24,000 |
1,000 |
5,500 |
P |
9 |
25,000 |
27,000 |
2,000 |
6,000 |
P |
14 |
31,100 |
37,400 |
6,300 |
6,500 |
P |
24 |
55,500 |
64,200 |
8,700 |
6,750 |
P |
33 |
75,800 |
86,700 |
10,900 |
7,000 |
P |
44 |
103,000 |
114,300 |
11,300 |
7,250 |
P |
60 |
140,900 |
152,400 |
11,500 |
7,500 |
P |
90 |
190,200 |
213,100 |
22,900 |
7,750 |
P |
125 |
261,700 |
283,700 |
22,000 |
8,000 |
P |
185 |
353,200 |
386,900 |
33,700 |
8,250 |
P |
270 |
466,100 |
518,100 |
52,000 |
8,500 |
P |
400 |
604,900 |
689,800 |
84,900 |
8,750 |
P |
568 |
798,400 |
891,600 |
93,200 |
なお、この証拠金額は、11:30の日経平均株価ならびにオプションの価格をもとに算出した推測値です。大引けまでの日経平均の動き、オプションのIVの変化により、大きく変動する可能性があります。ご利用にあたっては自己責任でお願いします。
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「OPMargin」 オプションの証拠金の計算、シミュレーションがEXCELでできます。
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どんなことができるか (「OPMargin」のマニュアルに移動します)
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売最低証拠金と商品内スプレッド ― 2012/06/10 22:40
11日からプライス・スキャンレンジが36万円から39万円に上がります。まぁ、3万円の上昇なのであまり大きな影響がないといえます。ところが、特殊なポジションを組んでいると逆に証拠金が下がるのをご存知でしょうか?
オプションの証拠金計算に使うSPANパラメータにはみなさんご存知のプライス・キャンレンジ、ボラティリティ・スキャンレンジに加え、
l 1ネット・デルタ当たりの商品内スプレッド割増額 (以下 「商品内スプレッド」)
l 売オプション1単位当たりの最低証拠金額(以下 「売最低証拠金」)
の2つが存在します。とはいえ、このパラメータが月曜日からどうなるかどの証券会社のサイトにも載っていません。まして、このパラメータが変更になると証拠金にどういう影響があるかの解説はどこにも見当たりません。
「商品内スプレッド」
カレンダー・スプレッドのように限月間でデルタが異なる場合、このパラメータの登場となります。たとえば、6月限月のデルタが -1.5 で 7月限月のデルタが +1.8 の場合、ネットのデルタは +0.3 でほぼニュートラルになります。しかし、限月が異なるので日経平均が大きく動くとこのデルタがニュートラルからずれてしまう可能性があります。このリスクに対応して証拠金を増やすのが「商品内スプレッド」の役目です。-1.5に対して+1.8その差は3.3になります。すなわち、デルタの差が3.3です。この差に対して、「商品内スプレッド」が課されます。6/11からの「商品内スプレッド」は、20,000円です。これによる割増額は、
66,000円 = 20,000 x 3.3
になります。
「売最低証拠金」
SPAN証拠金は、16通りのシナリオに基づいて、明日のオプション価格のシミュレーションを行い明日の損失が一番大きくなるものを証拠金としています。ただ、ATMから大きく離れている銘柄や、売りポジションを買いポジションでヘッジしている場合など、日経平均が大きく動いても、またIVが上昇しても明日の損失額がきわめて少額にしかならないケースがあります。証拠金額があまりに少ないといろいろと不都合があるので、最低証拠金額を設定しています。以前は、「売最低証拠金」は、プライス・キャンレンジの2.5%でしたが、震災後これが改定になりました。
「売最低証拠金」 = 日経平均株価 x 0.2%
この方式では、日経平均が下がれば下がるほど、「売最低証拠金」が下がります。プライス・スキャンレンジが36万円から39万円に増えても、日経平均が下落したので、月曜日からの「売最低証拠金」も下がるということです。すなわち、「売最低証拠金」が適用になるポジションを持っていれば月曜日からの証拠金は下がるというわけです。
なお、SPAN証拠金の4つのパラメータはこちらで確認できます。(EXCELファイルをダウンロードしてください)
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「OPMargin」 オプションの証拠金の計算、シミュレーションがEXCELでできます。
「OPMargin」を使うと、現在のポジションが「売最低証拠金」に該当するかが分かります。
有料ですが、日々の取引にとても有効なツールです。今日の証拠金はもとより、プライス・スキャンレンジが変わったら証拠金はどうなるか、時価情報をもとに今日の証拠金はいくらになるかというようなシミュレーションもできます。この機会に使ってみてはいかがですか?
どんなことができるか (「OPMargin」のマニュアルに移動します)
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プライス・スキャンレンジ ― 2012/06/14 21:28
前回は普段あまりなじみがない「商品内スプレッド」と「売最低証拠金」の話でしたが、今回はみなさんよくご存知のプライス・スキャンレンジについて書いてみたいと思います。
プライス・スキャンレンジに関しましては、以前かなり詳しく書いたのですが、震災時に証券会社が追証の取りはぐれで大きな損害を受けた影響でプライス・スキャンレンジ(以下、”PSR”と略す)の設定方法が変更になってしまいました。他のパラメータと異なり、証券会社のサイトでもPSRの値はすぐに確認できる、一番わかりやすいパラメータと言えるでしょう。PSRを決定する方法は、大証のサイトに記載されています。http://www.ose.or.jp/derivative/5894
参考までに大証さんのサイトからお借りした図を下記します。
この式さえわかれば、数学アレルギーの方でもEXCELを使って簡単にPSRを計算することができます。
ボラティリティ・インデックス(VI) ―― 日経新聞の「日経平均ボラティリティー・インデックス」を使います。6/14のVIは、27.73です。
パーセント―― VIはあくまで指数なので、%にするには100で割れということです。
ルート250 ―― 取引日が年間250日ということです。詳しいことは統計学の教科書で確認してください。EXCELでは、セルに =SQRT(250) と入力します。
2.58 ―― 正規分布で99%のケースをカバーする係数
原資産価格―― 日経平均の終値です。6/14の終値は8,568.89
切上げ―― なぜかよくわかりませんが30円単位に切り上げます。
金曜日に「日経平均ボラティリティー・インデックス」と日経平均の終値を調べれば、月曜日に証券会社のサイトで調べるまでもなくPSRを算出することができます。金曜日に算出したPSRは、翌々週のPSRになります。
|
2012/6/14 |
100 円上昇 |
1.0%上昇 |
VI |
27.73% |
27.73% |
28.73% |
ルート250 |
15.8113883 |
15.8113883 |
15.8113883 |
正規分布 |
2.58 |
2.58 |
2.58 |
日経平均 |
8,568.89 |
8,668.89 |
8,568.89 |
切上げ (30) |
30 |
30 |
30 |
乗数 |
1,000 |
1,000 |
1,000 |
計算結果 |
387.725 |
392.250 |
401.707 |
30円単位に切上げ |
390 |
420 |
420 |
上昇幅 |
|
4.52 |
13.98 |
30円上昇するには |
|
663.01 円 |
2.15% |
6/14のVIと日経平均終値から算出したPSRは390円になります。ただ切上げ前の数字が387.725円ですから、あと2円強で390円を突破して、PSRが420円に上がります。
次に日経平均が100円上昇、VIが1%上昇したらPSRがどうなるかシミュレーションしました。
日経平均100円の上昇で計算結果は、392.250円で、387.725円からの上昇幅は約4.52円です。PSRを30円押し上げるためには、日経平均が663.01 円上がる必要があります。これに対して、VI の1%上昇の計算結果は、401.707円で上昇幅は13.98円です。PSRを30円上昇させるためには、日経平均では663.01 円 (30/4.52*100)、VIでは、2.15% (30/13.98*1%) 上昇する必要があります。日経平均が663円動くのは年に1回あるかないかですが、VIの2.15%上昇は、起きる時には月に、いや週に1-2度起こり得ます。PSR、プライス・スキャンレンジと言いながら、プライスよりVIすなわちボラティリティの影響が大きいのはどういうことでしょう。
さらにここまで書いて大きな疑問がわきました。
(1) VIが10%上昇したが、日経平均は100円の下落でおさまった
(2) 日経平均が大荒れで、VIが10%上昇、日経平均が500円下落
この2つのケースでPSRをより大きな数値に設定すべき状況はどちらでしょうか?当然 (2)の方だと思います。ところが、今のルールで計算してみると、なんと(2)のPSRの方が低くなります。
|
|
(1) 10.0%上昇 |
(2) 10.0%上昇 |
|
2012/6/14 |
-100 円下落 |
-500 円下落 |
VI |
27.73% |
37.73% |
37.73% |
ルート250 |
15.8113883 |
15.8113883 |
15.8113883 |
正規分布 |
2.58 |
2.58 |
2.58 |
日経平均 |
8,568.89 |
8,468.89 |
8,068.89 |
切上げ (30) |
30 |
30 |
30 |
乗数 |
1,000 |
1,000 |
1,000 |
計算結果 |
387.725 |
521.390 |
496.764 |
30円単位に切上げ |
390 |
540 |
510 |
現在のPSR決定方法の算式では、日経平均が低ければ低いほどPSRを押し下げることになります。日経平均が大きく下落した方が、証拠金が安くなるのはどうしても不思議でなりません。
個人的には以前のルールで、最低PSRを設定するというのが一番合理的な方法ではないかと思っています。
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