証拠金を減らすには (5)2012/01/29 08:50

さて、このシリーズも5回目になり、いささか間延びしてきましたので今回を最終回にしたいと思います。

 

Span証拠金には16のシナリオがあり、自分が組んだポジションがどのシナリオにあたるかを明示している証券会社のサイトは残念ながら一つもありません。それどころか、16のシナリオ自体に言及しているところすらないのが実状です。大証はhome page上に、以前はより詳しい説明を載せていましたが久しぶりに確認したところ、ほとんどが削除されてしまいました。そんなわけで、自作しているOPMarginExcelシートをもとにこの最終回を書くことをお許し下さい。

 

例として、2012/3月 8000円プット 1枚売建てたとします。この場合、証拠金 126,800 = スパンリスク 93,800円 – (ネット・オプションバリュー -33,000) で適用されるシナリオは13になります。

 

1) 2012/3月限月 8000円プット 1枚売り 2012/1/27の証拠金

 

OPMarginにこの3月 8000円プット 1枚売建を入力すると、上のようなシートを作成することができます。実際には1つのシートですが横に長いので図は2つにしてあります。上の方の図で、証拠金額をはじめ適用されるシナリオ、スパンリスク、ネット・オプションバリューを確認することができます。

次に下の方の図ですが、わけのわからない数字が並んでいます。まず、7行目のS1S2.... S16S17 は推測がつくと思いますが、シナリオ1、シナリオ2.... シナリオ16、シナリオ17のことです。シナリオ17は売最低証拠金が適用されるケースです。3行目がこのシナリオにおける日経平均の値、4行目がIVの増減値を表しています。そして、5行目がこのポジションの各シナリオにおけるスパンリスクの値です。3月 8000円プット 1枚売建は、シナリオ13の日経平均8,541.22円、IV+7.1%の時にスパンリスク、すなわち損失額が最大になり、その損失額は938百円(93,800)であることを示しています。

分かりやすいように数字で列記してみますと

127日 3月限月 8000円プット 1枚売り IV 23.26% 価格33円 日経平均8,841.22円 ―― 上の図で分かります。

130 (127日から見て明日)  3月限月 8000円プット 1枚売り IV 30.36% (23.26% + 7.1%) 価格126.8円 日経平均8,541.22円 ―― 下の図のシナリオ13(AE)で分かります。

そして、1/271/30の価格の差が126.8- 33= 93.8円、つまり、売っているので1/30日の含み損が93.8千円 = 938百円 になるということです。

 

2) 図1) に複数の買いポジションを追加

 

分かりやすいように、各銘柄の数値とシナリオ13の数字だけを抜き出してみました。

限月

プット・コール

権利行使価格

価格

IV

S13

2012/2

P

8,500

25

19.25%

 

1

-1108

2012/3

P

7,750

20

25.42%

 

1

-655

2012/3

P

8,000

33

23.26%

-1

 

938

2012/3

P

8,250

55

21.07%

 

1

-1313

2012/4

P

7,250

33

28.09%

 

1

-756

 

3月限月 8000円プット 1枚売り以外は、S13の数字がマイナスになっています。これは、明日の損失がマイナス、すなわち利益が出るということです。3月限月 8000円プット 1枚売りから出る損失と、買いポジションから出る利益を足して、そのポジションの明日の損失(または利益)を求めることができます。

たとえば、2月限月 8500円プット 1 25円 を買うと、S13の合計数値は、-1108 + 938 = -170 とマイナス、すなわちこのポジションから逆に利益が出ますので証拠金をゼロに持っていくことができるのが分かります。このシナリオ13の数字を見ていくと、どの銘柄を買い建ててヘッジするとどの程度効果があるかが分かるわけです。たとえば、3月限月の8250円を1枚買い建てると、-1313 + 938 = -380 で証拠金をマイナスに持って行けますが買いのコストが55円かかります。それに対して、3月限月の7750円を2枚買い建てると、-655 X 2 + 938 = -372 とほぼ同じ結果ですが、買いのコストは20X 2 = 40円と 8250P 1枚買いの55円より安く済むことが分かります。

 

ただ、世の中そんなに単純でないということを付け加えておきます。

3月限月 8000円プット 133円売

2月限月 8500円プット 1 25円買

のポジションの場合、確かにシナリオ13では、明日の含み損がマイナス、すなわち、含み益になって、証拠金がゼロになるように思えますが、シナリオは全部で16あることを忘れてはいけません。このポジションでは、シナリオ3 日経平均8,941.22円、IV +7.1% での明日の損失が最大になります。さらに、異なる限月であるために限月間のスプレッドがプラスされ実際のスパンリスクは23,835円で証拠金は31,835円になります。日経平均があんまり動かないと2月限月の剥げが大きくて損が出るということを忘れてはいけません。まぁ、暴落に対する備えとしては十分であるということに変わりはありません。

 

残念ですが、色々なケースをここで試して書くのには限界があります。もし、よろしければ、31日までOPMariginを無料開放していますので、ダウンロの上ご自分で色々と試してみてはいかがでしょうか?

 

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証拠金を減らすには (4) ― スパンリスク2012/01/24 12:46

「証拠金の仕組みを知る」 -- スパンリスク

 

証拠金を減らすには(1)証拠金を減らすには(2)を読んでいただいて、デルタを見ているだけでは、有効に証拠金を減らすことはできないことを認識していただいたと思います。

そして、証拠金を減らすには(3)で、証拠金 = (スパンリスク) (ネット・オプションバリュー) という証拠金算出式のうち、ネット・オプションバリューは、オプションを売る、または、買うことによって受取る、または、支払うオプションのプレミアムの時価評価であるということをご理解いただけたと思います。

 

今回は、証拠金の算式 証拠金 = (スパンリスク) (ネット・オプションバリュー) のスパンリスクの部分についてです。スパンリスクについては、初めて聞く方もいるかと思います。また、どうやって計算するかを熟知されている方は少ないのではないでしょうか。まず、証券会社ごとにこのスパンリスクの呼び名が変わってきます。SBIですと「当社SPAN証拠金」、カブコムは「大証スパン証拠金」、そして、楽天は「SPAN証拠金額」となっています。CMEが名づけた正式名称は、SPAN Requirement です。SPANの部分は、The Standard Portfolio Analysis of Risk となります。ここでは、引き続きスパンリスクと呼ばせてもらいます。

 

SPAN証拠金の根本的な概念は、「明日起こりうる最大損失額を証拠金とする」ということです。まず、「明日起こりうる最大損失額」を計算するためには、16通りのシナリオに基づいて明日の価格を求めて、今日の価格に対する損益を計算します。オプションの価格は、主に、原資産である「日経平均の動き」と「IVの動き」に左右されます。16通りのシナリオとは、この二つの16通りの組み合わせになります。詳しくは、こちらの説明をご参照ください。

具体的な16のシナリオとは下記の表の通りとなります。2012/1/23の日経平均の終値が8,765.90円で現在のパラメータに基づいた具体的な数値を入れたのが左側の表です。日経平均の現在のプライス・スキャンレンジが300円ですので、下の表の3/3下降とは、300*3/3= 300円、すなわち 8,765.90円 – 300 = 8,465.90円 となります。

 

シナリオ

日経平均

ボラティリティ

 

シナリオ

日経平均

ボラティリティ

1

不変

上昇

 

1

8,765.90

+7.1%

2

不変

下降

 

2

8,765.90

-7.1%

3

1/3上昇

上昇

 

3

8,865.90

+7.1%

4

1/3上昇

下降

 

4

8,865.90

-7.1%

5

1/3下降

上昇

 

5

8,665.90

+7.1%

6

1/3下降

下降

 

6

8,665.90

-7.1%

7

2/3上昇

上昇

 

7

8,965.90

+7.1%

8

2/3上昇

下降

 

8

8,965.90

-7.1%

9

2/3下降

上昇

 

9

8,565.90

+7.1%

10

2/3下降

下降

 

10

8,565.90

-7.1%

11

3/3上昇

上昇

 

11

9,065.90

+7.1%

12

3/3上昇

下降

 

12

9,065.90

-7.1%

13

3/3下降

上昇

 

13

8,465.90

+7.1%

14

3/3下降

下降

 

14

8,465.90

-7.1%

15

極端に上昇(3)

不変

 

15

9,665.90

+0.0%

16

極端に下降(3)

不変

 

16

7,865.90

+0.0%

*シナリオ15 16は損失額に30%をかけたものとする。

 

スパンリスクとは簡単にいえば、今の自分のポジションが、どのシナリオで明日の損失が最大になるか、そしてその損失額はいくらかということです。このためにはブラック・ショールズ式で16通りの明日の価格を計算しなければなりません。結構大変です。

 

ここで基本に戻って、オプションの基本的な動きについて思い出してみましょう。まずはCallから。Callの価格は、日経平均が上昇すると上がります。すなわち日経平均と同じ動きになります。さらに、日経平均が200円上がる場合と、300円上がる場合を比べると、当然、300円上がる場合の方がCallの価格の上昇幅は大きくなります。

Putの価格は、日経平均が上昇すると下がります。すなわち日経平均と逆の動きになります。さらに、日経平均が200円下がる場合と、300円下がる場合を比べると、当然、300円下がる場合の方がPutの価格の上昇幅は大きくなります。

オプションの売り手の損失が大きくなるのは、今日の価格に比べて明日の価格が上昇するときです。この点から考えて再度上の表を見直すと、Callの売り手の損失が大きくなるのは、日経平均が極端に上昇してIVが不変のシナリオ15か、3/3上昇してIVが上昇するシナリオ11ではないかと推測できます。同様にPutの売り手の損失が大きくなるのは、日経平均が極端に下落してIVが不変のシナリオ16か、3/3下落してIVが上昇するシナリオ13ということになりそうです。

 

実際に、証券会社が発注の際に現金残と証拠金をチェックする際に使う1枚当たりの売証拠金は、Callであればシナリオ1115Putであればシナリオ1316のスパンリスクになっています。そうであれば、シナリオは111513164つあれば十分であるような気がします。たとえば、シナリオ2の日経平均が不変でIVが下落するときに損するポジションなんてあるか??という気がします。しかし、ここでオプションの買いを思い出してください。オプションマニアが大好きな売りと買いを組み合わせたスプレッドや様々なストラテジーは、売りと買い、CallPut、または異なる限月間の銘柄の組み合わせです。

「日経平均が大きく下がると思って、ATM (At The Money)Putを買ってヘッジしたけれど、思惑に反して、日経平均は全く動かなかった。おまけにIVが剥げてしまった、、、。」 OTM (Outo Of Money)Putの売りの価格は全然下がらないけれど、せっかくヘッジのために買ったATMPutの価格は大幅に下がって損をする、シナリオ2を恨むケースが実際の世界には意外と多くあるものです。

 

自分のポジションのスパンリスクはいったいいくらか?これは、証券会社の画面の「SPAN証拠金額」を見れば一目瞭然です。ただ、証拠金を減らすためには、スパンリスクを分析して、自分のポジションは日経平均とIVがどんな動きをしたときに損失が大きくなるのかを知ることが重要です。そのためには、自分のポジションがシナリオ1-16のどれに該当するか調べて、上の表を見れば論理的な答えが見つかりそうです。しかし、自分のポジションはどのシナリオに該当するか、その答えはいったいどこに書いてあるのでしょうか?

 

 (続く)

 

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証拠金を減らすには (3) -- 証拠金の仕組み2012/01/12 10:44

「証拠金の仕組みを知る」 -- ネット・オプションバリュー

 

証拠金を減らすには(1)証拠金を減らすには(2)を読んでいただいて、デルタを見ているだけでは、有効に証拠金を減らすことはできないことを認識していただいたと思います。

証拠金を減らすためには、そして、急増を防ぐためには、やはり証拠金のメカニズムを知る必要があります。

 

 (ポジション例)  2月限月 P 7,500 円 24円 5枚売り IV 26.09%

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

465,000

345,000

-120,000

 

Delta

Gamma

Kappa

Theta

0.3495

-0.00105

-18.62830

6.93090

 

前回同様のポジションです。

ここで、証拠金の額は、465,000円ですが、この465千円はどうやって求められるのでしょうか。隣の列に聞いたころがあるような、スパンリスク(Span Risk)とネット・オプションバリュー(Net Option Value)の数字が表示されています。

どうやら、 証拠金 = (スパンリスク) (ネット・オプションバリュー)

       465,000 = 345,000 (-120,000)

という計算で求められることが推測されます。

 

スパンリスクとネット・オプションバリューの数字が証券会社の画面のどこにあるか確認してみましょう。

(1) SBI証券の画面

説明: http://bigsnapper.asablo.jp/blog/img/2012/01/12/1ce645.png

口座管理画面の左上の部分にあります。

必要委託証拠金 = 当社SPAN証拠金(注文含む) - 当社Net Option Value

となります。

 

(2) カブドットコム証券の画面

説明: http://bigsnapper.asablo.jp/blog/img/2012/01/12/1ce647.png

資産管理 - 先物・オプション建玉可能額の右側の上の部分にあります。

(30) 必要証拠金額 = (32) 大証スパン証拠金(100%) - (33)ネットオプション価値

となります。

 

(3) 楽天証券の画面

説明: http://bigsnapper.asablo.jp/blog/img/2012/01/12/1ce649.png

マーケットスピードの 総合 - 証拠金シミュレーション 画面の中

取引証拠金所要額 = SPAN証拠金額 - ネット・オプション価値の総額

 

証券会社ごとに用語は多少異なりますが、同じ算式になっていることが分かります。

 

では、スパンリスク、ネット・オプションバリューとは何でしょうか?

ネット・オプションバリューとは、オプションの終値、厳密には清算値です。例の7,500Pの場合、16日の引けで売建た前提ですので単価24円 5枚売りで、24*5=120千円。これに売りの場合はマイナスを付けてネット・オプションバリューが -120,000円です。24円で5枚売ると、プレミアムを120千円受取ことができます。この受取ったプレミアムの額を現金から差し引くという意味でマイナスを付けています。オプションを売って受取る金額は、利益ではなくて、一種の仮受金です。証拠金として差し入れた現金から仮受金を引いたというイメージです。現金200万円を保証金として預けているとすると下記のような計算になります。

   現金        2,000,000

   受取プレミアム    120,000

   証拠金残高   2,120,000

ただし、212万円のうち、12万円が仮受金なので実質現金残が200万円ということになります。

 

翌日に7,500Pの価格が変動したらどうなるでしょうか?

(1) 50円に値上がり ネット・オプションバリュー 50 * 5 = 250,000 à-250,000

   現金               2,000,000

   受取プレミアム           120,000

   ネット・オプションバリュー   -250,000

   実質現金残高         1,870,000

 

(2) 22円に値下がり ネット・オプションバリュー 20 * 5 = 100,000 à-100,000

   現金               2,000,000

   受取プレミアム           120,000

   ネット・オプションバリュー   -100,000

   実質現金残高         2,020,000

 

もうお分かりになった方もいらっしゃるかもしれませんが、受取プレミアムからネット・オプションバリューを加えることにより、このポジションの含み損益が求められます。

(1) 売値 24円 清算値(現値) 50円 -→ (24-50)*5*1,000 = -130,000

(2) 売値 24円 清算値(現値) 22円 -→ (24-20)*5*1,000 =    20,000

要は、受取プレミアムからネット・オプションバリューを引くというのは、受取プレミアムという仮受金を時価評価したということになります。

例を上げて説明はしませんが、オプションを買った場合は、支払プレミアムをマイナスにして、ネット・オプションバリューをプラスと各々の符号を逆にすることにより、支払プレミアムといいう仮払金の時価評価になります。

 

もとの式、 証拠金 = (スパンリスク) (ネット・オプションバリュー) で “– (ネット・オプションバリュー)” の部分は、受取または支払プレミアムの時価への評価替えのために必要なものとご理解ください。

 

長くなってしまいましたので、スパンリスクの部分は後日のお楽しみとさせていただきます。

待ちきれない方は、約1年前のこちらを見てください。

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 (引き続き好調でしたので 続く)

 

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証拠金を減らすには (2) ― デルタヘッジ(2)2012/01/09 19:53

「デルタヘッジにより証拠金の急増を防ぐ」 -- Put買いでヘッジ

前回は、Callを売って、デルタをニュートラルに近づけた場合は証拠金の急増を防ぐことはできないということを検証しました。今回は、異なる権利行使価格のPutを買ってデルタヘッジをした場合どうなるかを確かめてみたいと思います。

 

 (ポジション例)  2月限月 P 7,500 円 24円 5枚売り IV 26.09%

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

465,000

345,000

-120,000

 

Delta

Gamma

Kappa

Theta

0.3495

-0.00105

-18.62830

6.93090

 

前回同様のポジションです。

これを、①P7,250円の買い、②P7,750の買いの二通りでどうなるか調べてみましょう。

 

(ポジション①)  2月限月 P 7,500 円 24円 5枚売り IV 26.09% プレミアム+120

           2月限月 P 7,250 円 16円 6枚買い IV 29.30% プレミアム -96

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

109,000

85,000

-24,000

 

Delta

Gamma

Kappa

Theta

0.0927

-0.000270

-2.86234

0.3405

 

(ポジション②)  2月限月 P 7,500 円 24円 5枚売り IV 26.09% プレミアム+120

           2月限月 P 7,750 円 43円 2枚買い IV 23.89% プレミアム -86

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

171,800

137,800

-34,000

 

Delta

Gamma

Kappa

Theta

0.0957

-0.000350

-7.45448

3.12548

 

ポジション①、ポジション②ともデルタとガンマはほぼ同じ値で、ヘッジしないときに比べてデルタは0に近づいています。ただ前回のCallを売った時のデルタが0.0645でしたので、それよりもデルタの絶対値は大きいのですが、証拠金の額は②の方でも171,800円とヘッジしない場合の465,000円より大幅に低下です。ただ、受け取れるプレミアムは、裸売りの時の120千円から①で24千円、②で34千円とほぼ証拠金と比例しているといえるでしょう。ただ、カッパ(ベガ)の絶対値は、②の方が2.5倍ぐらい大きくなっています。これがどういう影響を与えるのでしょうか。

 

前回同様これらのポジションが3連休明けに日経平均が350円下がり、IV5%上昇したらどうなるか調べてみましょう。

ポジション

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

含み損益

ヘッジなし

1,135,000

685,000

-450,000

-330,000

175,000

85,000

-90,000

-66,000

488,400

328,400

-160,000

-126,000

 

ポジション

Delta

Gamma

Kappa

Theta

ヘッジなし

1.03855

-0.001950

-33.5477

16.7902

0.20635

-0.000270

-2.45336

-0.38726

0.40751

-0.000890

-16.88846

9.0465

 

デルタ、ガンマがほぼ同じであった①と②で思った以上の差が出るのはカッパ(ベガ)の差と言えそうです。日経平均下落後のデルタに0.20.4で倍の差が出ます。また、含み損も倍の差が出ます。受取プレミアムの差は1万円ですが結果は大きく異なります。

(図1 ポジション①)

説明: 説明: http://bigsnapper.asablo.jp/blog/img/2012/01/09/1cda23.png

(図2 ポジション②)

説明: 説明: http://bigsnapper.asablo.jp/blog/img/2012/01/09/1cda27.png

 

グラフを見ても1/6の時点では②より①の方が有利なポジションと言えそうです。Call売った時と比べても、同じようなデルタでも証拠金と含み損益の結果は大きく異なることが分かります。

言うまでもないですが、オプションは奥が深く、分析力の違いで結果に大きな差が出ても不思議はありません。

(前回好調でしたので 続く)

 

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証拠金を減らすには (1)2012/01/07 17:20

久しぶりの更新にもかかわらず、ブログ村説明: 説明: : にほんブログ村 先物取引ブログ 日経225オプションへの注目記事ランキングで第1位をいただきました。それほどアクセス数が多い訳ではないのですが、これはどういう仕組みなのでしょうか?

説明: http://bigsnapper.asablo.jp/blog/img/2012/01/07/1ccabf.png

 

まぁ、注目戴いているという事実を前向きにとらえて、頻繁に更新することを心がけます。

もうだいぶ前になってしまいましたが、OPMarginを使っていただいているYさんから質問をいただき、色々とやり取りしたのですが、最終的にどうしたら証拠金の増加を防ぐことができるかという話になりました。皆さん独自にそれなりのやり方があると思いますが、この点について少し書いてみたいと思います。ひょっとしたら数回のシリーズになるかもしれませんし1回で打ち切りかもしれません()

 

「デルタヘッジにより証拠金の急増を防ぐ」

まずはこのアプローチについて検証してみることにします。簡単にいうと、デルタ値をニュートラル(ゼロ)に維持しておくことにより、日経平均が急上昇または急下落しても。証拠金が大幅に増加するのを防ごうというものです。

 

(ポジション例)  2月限月 P 7,500 円 24円 5枚売り IV 26.09%

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

465,000

345,000

-120,000

1/6では、証拠金465,000円があればこのポジションを組むことができます。

 このポジションのGreek指標を計算してみると下記の通りとなります。

Delta

Gamma

Kappa

Theta

0.3495

-0.00105

-18.62830

6.93090

デルタが0.3495ですから、日経平均が上がればいいのですが、下落すると含み損が出て証拠金が増えます。特に、ネガティブガンマ(ガンマがマイナス)で下落の幅が大きくなるとデルタ値は加速度的に傾きを増すことが分かります。また、カッパ(ベガ)の絶対値が-18と大きいので、IVが上昇する局面では、ちょっと大変になりそうだということが分かります。次限月Putの裸売りでヘッジしていませんのでこんなものでしょう。

 

3連休をはさんで、万が一ヨーロッパかアメリカで悪材料が出て、10日の日経平均が下がったら、当然このポジションから含み損が発生して、証拠金が上がります。仮に、日経平均が350円下がって、IV5%上昇したらどうなるでしょう。最近の日経平均の動きからするとそこまではないでしょうが、過去の動きから考えると年に数回は起きるシナリオで決して非現実的なものではありません。

 

シミュレーションをしてみると、価格は90円に上昇して、含み損は33万円、証拠金は下記の通り、倍以上の1,135,000円になってしまいます。

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

1,135,000

685,000

-450,000

Greek指標を見てみると、デルタは1です。要は先物を1枚買っているのと同じで、万が一続落にでもなれば傷口はもっと広がります。

Delta

Gamma

Kappa

Theta

1.03855

-0.001950

-33.5477

16.7902

 

ここまで来てしまうと、デルタの調整は容易ではありません。となると6日の段階でよりデルタをニュートラルに近づけておけばよかったということになります。P7,500 円 24円 5枚売りのデルタをニュートラルに近づける方法はいろいろあります。ミニや先物を考えないとすると、Putを買うか、Callを売るかです。Putを買うとなると、せっかく売って手に入れたプレミアムが減ってしまいます。Callを売れば、デルタはニュートラルに近づく上に、Callを売ったプレミアムが手に入ります。これはいいと思われますが....Callを売って、デルタをニュートラルに近づけた時どうなるか検証してみましょう。

 

(ポジション例)  2月限月 P 7,500 円 24円 5枚売り IV 26.09%

           2月限月 C 9,000 円 20円 3枚売り IV 17.11%

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

516,900

336,900

-180,000

Putのみの売りの時より、証拠金は約5万円(516,900-465,000)増えてしまいます。ただ、Callを売ったプレミアムが6万円入ってきますから、実質的な現金残は約1万円のプラスです。Greek指標を見てみましょう。

Delta

Gamma

Kappa

Theta

0.0645

-0.002220

-32.06722

10.22361

デルタは0.3495だったのが0.0645まで下がり、ニュートラルに近づきました。これはいいぞと思えますが、ガンマがが約2倍、カッパ(ベガ)-18.62830から-32.06722と絶対値が倍近く大きくなるのが気になります。

 

では、1/10に日経平均が350円下がって、PutIV5%上昇、CallIV3%上昇したらどうなるでしょう。早速シミュレーションしてみましょう。

先ほど同様P7,500の価格は90円に上昇ですが、C9,000の価格は5円まで下がるので、含み損は28.5万円で先ほどの33万円より少なくなりCallを売った効果が多少ですが出ます。証拠金はどうでしょう。1,154,800円とPutだけの1,135,000円より2万円ほど多くなります。せっかくデルタをニュートラルに近づけたのに証拠金の上では効果なしということになります。

証拠金

SpanRisk

NetOptionValue

1,154,800

689,800

-465,000

Greek指標を見てみると、デルタは0.95と先ほどよりは多少ましとはいえほぼ1です。先物を1枚買っているのと同じという状況の改善はありません。

Delta

Gamma

Kappa

Theta

0.95101

-0.002370

-38.22182

18.30844

 

取引経験が長い方にとっては当たり前のことですが、デルタを調整と証拠金を減らすことは必ずしもイコールではないということがお分かりいただけるのではないでしょうか。(続く)

 

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