ネット・オプション・バリュー (NOV: Net Option Value)2011/05/03 12:38

久しぶりの更新になってしまいました、ブログを見に来てくださった方すみませんでした。

 

隙間風さんから下記の質問をいただいていました。隙間風さん、遅くなってすみません

「ネット・オプション・バリューがなぜオプションの値と微妙に違っているのか分かりません。時間のあるときに解説していただければ幸いです。」

 

実は、このネット・オプション・バリューの問題はとても時流にそった良い質問です。というのは、ネット・オプション・バリューの算出方法は、大証がJGATEを稼働した2/14から変更になったばかりだからです。その後東日本大震災によりちょっとバタバタしていましたので、ちょうど良い検証の機会になりました。

 

オプション価格と一言で言っても実は様々な価格が存在することをご存知でしょうか?

1)    清算値

2)    最終約定価格(15:00-15:15)

3)    最終約定価格(15:00以前)

4)    最終売り気配

5)    最終買い気配

6)  本質的価値

7)    理論価格

 

結論から言うと、ネット・オプション・バリュー(以下NOV: Net Option Value)とは清算値のことになります。清算値は大体の場合最終約定価格なのですが、上の2)3)から推測されるように、その最終価格がいつ付いたものかによって変わってきます。2)の最終約定価格が(15:00-15:15)についたものであれば、最終約定価格がそのまま清算値となります。しかし、最終約定価格が1500以前についた3)のケースですと、オプションの価格が引けまでの日経平均の変動を反映しているとはいえませんので、より実態に即した清算値を求める必要が出てくるのです。隙間風さんが言われる「微妙に違っている」ケースは、最終約定価格が1500以前のものであったと思われます。

 

実例に基づいて検証してみましょう。図は、6月限月の2011/5/2の引けの価格表です。9500円コールに注目してください。この銘柄の最終約定価格は595円ですが、約定の時間が1410です。1500以前の約定ですから、この595円は清算値とはなりません。図のスクリーン・コピーを取ったのが遅くなってしまったため、消えてしまっていますが、引けの段階では9500円コールには、売り気配625円、買い気配615円という数字が入っていました。この売り買い気配値の平均620円が、9500円コールの清算値になります。

また、清算値の算出にはあと2つルールがあります。第一のルールは、呼値単位に丸めるということです。オプションの価格が50円までは1円刻みで、50-1000円までは、5円刻み、そして1000円以上は10円刻みの呼値に切り上げます。

そして、第二のルールは、本質的価値を下回らないということです。現在の日経平均は約10,000円ですので、10,000円のプット、コールがアット・ザ・マネー(ATM: At The Money)、コールの9750円以下、そして、プットの10,250円以上がイン・ザ・マネー(ITM: In The Money)になります。ITMのオプションは、例えば今日がSQの場合、いわゆる紙切れにはならず清算の対象になります。SQ値が10,000円だとしたら

プット10,250円は(10250-10000*1000250,000円、

コール9250円は(10000-9250)*1000=750,000

の清算が生じます。この清算価値をオプションの本質的価値と呼びます。ITMのオプションにだけ適用されるルールですが、最終約定価格や最終気配値にかかわらず清算値が本質的価値を下回ることはありません。すなわち、プット10,250円の本質的価値は250円、コール9250円は750円でこれと最終約定価格(または、最終売り気配と最終買い気配の仲値)の大きい方が清算値となります。

例にあげた、9500円コールの場合、本質的価値は、(10004.20-9500)=504.20ですので、売り買い気配の仲値620円が本質的価値を上回り、清算値になっています。

 

さて、最後に理論価格ですが、大証の資料には明確に書いていないので多少飛躍してしまうかもしれませんが、1500以降の約定価格がある場合は、約定価格、約定がそれ以前の場合は最終売り気配と最終買い気配の仲値を仮の理論価格として、ブラック・ショールズ式(BS)を用いて、インプライド・ボラティリティ(IV)を逆算します(小数第7位で四捨五入し6位までに丸める)。このIVBS式に代入して、オプション価格を求めて円単位未満を四捨五入したものを理論価格としています。ややこしいだけの説明になってしまいましたが、大まかに言えば、1500以降の約定価格がある場合は約定価格、約定がそれ以前の場合は最終売り気配と最終買い気配の仲値理論価格と考えてください。

 

より深く知りたい方、根気のある方は下記のページを読んでみてください。

http://www.ose.or.jp/f/general_cms_pages/6984/wysiwyg/FuOP_yoko.pdf

http://www.ose.or.jp/f/general_cms_pages/6984/wysiwyg/OP_sansyutsu_rei.pdf

 

隙間風さん、遅くなった上にわかりにくい説明で申し訳ありませんでした。

 

さて、現在EXCELで開発中の証拠金計算プログラムですが、10日ほどで完成するのではという目途が立ってきました。モニターとしてアンケートに答えてくださった方に試作版を試していただこうと考えておりますので、ご興味ある方はコメント欄にご記入ください。なお、コメントは書いても公開されず、私の方の参考にさせていただきます。まずは、EXCEL2007 / 2010をお使いの方が対象になります。

 

Span証拠金、オプションに関する、ご質問等お待ちしています。一緒に研究、検証しましょう。

証拠金管理プログラム「OPMargin」やExcel VBAの質問も待っています。

 

お時間ありましたら、過去ログ読んでください。興味深いものがありますよ。

http://bigsnapper.asablo.jp/blog/2011/05/26/5881297

 

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