「ぬきち」さんとのコラボ企画 Net Option Value2013/02/11 18:45

ぬきちさんとのコラボ企画でご試用いただいている方から、SBIの証拠金と「OPMargin」で算出した証拠金が微妙に異なる、とのコメントをいただきました。

この微妙な違いは、Net Option Valueと、SBI証券の言う「当社Net Option Value」のなせる業です。「当社」と付いていることからもわかる通り、これはSBI証券のローカルルールのNet Option Valueです。そもそも、Net Option Valueとは、その日の引けの価格になります(ただ、実際には例外があるので、詳しくは)。翌日の引けまでは、証拠金計算上のNet Option Valueは変わりません。

これに対して、SBIの「当社Net Option Value」は刻々と変化する今の価格です。引け後、証拠金が計算されて、16:30からの夕場取引で、引けの価格と異なる値段が付いた途端、「当社Net Option Value」が変更になり、画面上の「必要委託証拠金」も変わってしまいます。しかし、これはあくまで新規の注文を受けるための参考値です。万が一、保持している売建玉の価格が急上昇して、現金残を必要委託証拠金が上回って、「追証」の状態になっても、注文ができないだけで、追証になるわけではありません。また、実際の証拠金は、SPAN RISK(SPAN証拠金)の影響の方がNet Option Valueより大きいので、SPAN RISKを無視してNet Option Valueだけ動かすこと自体あまり意味がないように思えます。

OPMargin」では常に、前日の引けの段階の正しい証拠金を算出していますが、引け前の価格の動きによるNet Option Valueの変動は考慮していません。

夕場で大きく動いて、この状態で明日の引けを迎えたら証拠金はどうなってしまうのか??、そんな心配があるときは、「RT予測」で証拠金を予測することができます。この、「RT予測」では、Net Option Valueばかりでなく、SPAN RISKも計算して、より正確な証拠金予想額を算出しています。

 

ご愛用者の「ぬきち」さんにお礼を込めて、ぬきちさんのブログを読んで興味を持たれた方にOPMargin2/16までお試しいただける特別企画をしています。

使ってみたい方は、お手数ですがコメント欄に、mail addressと使っているExcelのバージョン(2003か、2007/2010)を書いて投稿してください。コメント欄は非表示設定ですのでご安心ください。コメントをお待ちしております。

 

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OPMargin」 オプションの証拠金の計算、シミュレーションがEXCELでできます。

有料ですが、日々の取引にとても有効なツールです。今日の証拠金はもとより、プライス・スキャンレンジが変わったら証拠金はどうなるか、時価情報をもとに今日の証拠金はいくらになるかというようなシミュレーションもできます。この機会に使ってみてはいかがですか?

どんなことができるか (OPMargin」のマニュアルに移動します)

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Span証拠金、オプションに関する、ご質問等お待ちしています。一緒に研究、検証しましょう。証拠金管理プログラム「OPMargin」やExcel VBAの質問も待っています。コメント欄に投稿してください。

 

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シナリオ15・16とブラック・ショールズ式2012/07/08 10:58

久しく更新していなかったのですが、先日WKさんから質問をいただきました。

 

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オプションの値段の簡単な推定の計算方法で、

プレミアムの変化分は、”ガンマ分”+”デルタ分”+”セータ分”+”ベガ分”ですが、

この式だと数百円の変化までならそれなりのプレミアムの推定値が計算できそうですが、

仮に1000円動いたら、となった場合に”ベガ分”が大きくなりすぎて

アウトオブザマネーになればなるほどプレミアムの推定値が現実とずれてきてしまう

気がするのですが、どうでしょう?

ガンマ分=12×ガンマ×(日経平均の変化の二乗)

1000×1000×ベガ×1/2  ・・・1000×1000てかなり大きい数値になりますよね

 

スパンのシナリオ 極端に動いた場合の15,16だと1000円くらい動いた場合のプレミアムを

推定しないといけないと思うのですが、どうやって計算してるのでしょうか?

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オプション価格の計算、色々な簡便法があることは知っていましたが、細かくそれを検証したことはありません。

オプションの存在を知るきっかけは、LTCMというヘッジファンドの破たんでした。LTCMのパートナーの一人がマイロン・ショールズというノーベル経済学賞を受賞した学者だという話を聞いて、ショールズがノーベル賞を受賞したブラック・ショールズの公式はいったいどんなものか興味を持ちました。このややこしい式からオプションの価格が計算できる、となると、自分のEXCELで計算できるものか試してみたくなりました。ネットで検索してみると、自作のEXCELシートを公開している人がいました。シートの中の式や解説を読んでみると、普段は全く縁のないEXCELの財務関数や統計関数を使うとブラック・ショールズ式でオプション価格算出が可能であることが分かりました。

その後、紆余曲折はあったもののなんとか、計算できるようになりました。ただ、日経平均の終値と大証が発表するIVを使って実際にオプション価格を計算してみると、結果は近似値にはなるもののなかなかぴったりとした数字にはなりません。調べてみると、ブラック・ショールズ式なるもの自体、色々な改良形があってどの式を使うかによって当然結果が違ってくることが分かりました。

 

オプションのSPAN証拠金もブラック・ショールズ式を使って、16のシナリオに基づいて、翌営業日のオプション価格を計算しています。そして、今日のオプション価格と比較して、最大の損失になるものを証拠金とするのです。この翌営業日のオプション価格が正しく計算できれば証拠金がいくらになるか計算できるのですが、より精度の高い数字を得るためには、どのバージョンのブラック・ショールズ式を使い、計算途中の丸めはどうするかなど、検証するには正直膨大な時間と労力を要します。

 

証券会社のサイトにも、オプション・シミュレーターがあります。これに、ブラック・ショールズのパラメータである日経平均の終値、IVSQまでの日数、金利率などを入れて計算してみると、近似値にはなるもののぴったりとした数字が返ってきません。証券会社が高いコストをかけてソフト開発会社に作らせた、オプション・シミュレーターも簡便法によって導き出された結果と50100歩というレベルといわざるを得ません。もちろん、簡便法も証券会社のシミュレーターも通常の取引の参考としては十分役立つものです。ただ、SPAN証拠金の推測には使える代物ではないのです。

 

OPMargin」のBS関数を使うとオプション価格をより正確に計算することができます。これは長年の試行錯誤の産物であり、このノウハウが精度の高い証拠金計算に役立てられています。7SQ明けに、また無料公開を考えていますのでこの機会にぜひお試しください。 

 

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OPMargin」 オプションの証拠金の計算、シミュレーションがEXCELでできます。

OPMargin」を使うと、現在のポジションが「売最低証拠金」に該当するかが分かります。

有料ですが、日々の取引にとても有効なツールです。今日の証拠金はもとより、プライス・スキャンレンジが変わったら証拠金はどうなるか、時価情報をもとに今日の証拠金はいくらになるかというようなシミュレーションもできます。この機会に使ってみてはいかがですか?

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使用申込み

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プライス・スキャンレンジ2012/06/14 21:28

前回は普段あまりなじみがない「商品内スプレッド」と「売最低証拠金」の話でしたが、今回はみなさんよくご存知のプライス・スキャンレンジについて書いてみたいと思います。

プライス・スキャンレンジに関しましては、以前かなり詳しく書いたのですが、震災時に証券会社が追証の取りはぐれで大きな損害を受けた影響でプライス・スキャンレンジ(以下、”PSR”と略す)の設定方法が変更になってしまいました。他のパラメータと異なり、証券会社のサイトでもPSRの値はすぐに確認できる、一番わかりやすいパラメータと言えるでしょう。PSRを決定する方法は、大証のサイトに記載されています。http://www.ose.or.jp/derivative/5894

参考までに大証さんのサイトからお借りした図を下記します。

 

 

この式さえわかれば、数学アレルギーの方でもEXCELを使って簡単にPSRを計算することができます。

ボラティリティ・インデックス(VI) ―― 日経新聞の日経平均ボラティリティー・インデックスを使います。6/14VIは、27.73です。

パーセント―― VIはあくまで指数なので、%にするには100で割れということです。

ルート250 ―― 取引日が年間250日ということです。詳しいことは統計学の教科書で確認してください。EXCELでは、セルに =SQRT(250) と入力します。

2.58 ―― 正規分布で99%のケースをカバーする係数

原資産価格―― 日経平均の終値です。6/14の終値は8,568.89

切上げ―― なぜかよくわかりませんが30円単位に切り上げます。

 

金曜日に日経平均ボラティリティー・インデックスと日経平均の終値を調べれば、月曜日に証券会社のサイトで調べるまでもなくPSRを算出することができます。金曜日に算出したPSRは、翌々週のPSRになります。

 

 

2012/6/14

100 円上昇

1.0%上昇

VI

27.73%

27.73%

28.73%

ルート250

15.8113883

15.8113883

15.8113883

正規分布

2.58

2.58

2.58

日経平均

8,568.89

8,668.89

8,568.89

切上げ (30)

30

30

30

乗数

1,000

1,000

1,000

計算結果

387.725

392.250

401.707

30円単位に切上げ

390

420

420

上昇幅

 

4.52

13.98

30円上昇するには

 

663.01

2.15%

 

6/14VIと日経平均終値から算出したPSR390円になります。ただ切上げ前の数字が387.725円ですから、あと2円強で390円を突破して、PSR420円に上がります。

次に日経平均が100円上昇、VI1%上昇したらPSRがどうなるかシミュレーションしました。

日経平均100円の上昇で計算結果は、392.250円で、387.725円からの上昇幅は約4.52円です。PSR30円押し上げるためには、日経平均が663.01 円上がる必要があります。これに対して、VI 1%上昇の計算結果は、401.707円で上昇幅は13.98円です。PSR30円上昇させるためには、日経平均では663.01 (30/4.52*100)VIでは、2.15% (30/13.98*1%) 上昇する必要があります。日経平均が663円動くのは年に1回あるかないかですが、VI2.15%上昇は、起きる時には月に、いや週に1-2度起こり得ます。PSR、プライス・スキャンレンジと言いながら、プライスよりVIすなわちボラティリティの影響が大きいのはどういうことでしょう。

 

さらにここまで書いて大きな疑問がわきました。

(1) VI10%上昇したが、日経平均は100円の下落でおさまった

(2) 日経平均が大荒れで、VI10%上昇、日経平均が500円下落

この2つのケースでPSRをより大きな数値に設定すべき状況はどちらでしょうか?当然 (2)の方だと思います。ところが、今のルールで計算してみると、なんと(2)PSRの方が低くなります。

 

 

(1) 10.0%上昇

(2) 10.0%上昇

 

2012/6/14

-100 下落

-500 下落

VI

27.73%

37.73%

37.73%

ルート250

15.8113883

15.8113883

15.8113883

正規分布

2.58

2.58

2.58

日経平均

8,568.89

8,468.89

8,068.89

切上げ (30)

30

30

30

乗数

1,000

1,000

1,000

計算結果

387.725

521.390

496.764

30円単位に切上げ

390

540

510

 

現在のPSR決定方法の算式では、日経平均が低ければ低いほどPSRを押し下げることになります。日経平均が大きく下落した方が、証拠金が安くなるのはどうしても不思議でなりません。

個人的には以前のルールで、最低PSRを設定するというのが一番合理的な方法ではないかと思っています。

 

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OPMargin」 オプションの証拠金の計算、シミュレーションがEXCELでできます。

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売最低証拠金と商品内スプレッド2012/06/10 22:40

11日からプライス・スキャンレンジが36万円から39万円に上がります。まぁ、3万円の上昇なのであまり大きな影響がないといえます。ところが、特殊なポジションを組んでいると逆に証拠金が下がるのをご存知でしょうか?

オプションの証拠金計算に使うSPANパラメータにはみなさんご存知のプライス・キャンレンジ、ボラティリティ・スキャンレンジに加え、

l  1ネット・デルタ当たりの商品内スプレッド割増額 (以下 「商品内スプレッド」)

l  売オプション1単位当たりの最低証拠金額(以下 「売最低証拠金」)

の2つが存在します。とはいえ、このパラメータが月曜日からどうなるかどの証券会社のサイトにも載っていません。まして、このパラメータが変更になると証拠金にどういう影響があるかの解説はどこにも見当たりません。

 

「商品内スプレッド」

カレンダー・スプレッドのように限月間でデルタが異なる場合、このパラメータの登場となります。たとえば、6月限月のデルタが -1.5 で 7月限月のデルタが +1.8 の場合、ネットのデルタは +0.3 でほぼニュートラルになります。しかし、限月が異なるので日経平均が大きく動くとこのデルタがニュートラルからずれてしまう可能性があります。このリスクに対応して証拠金を増やすのが「商品内スプレッド」の役目です。-1.5に対して+1.8その差は3.3になります。すなわち、デルタの差が3.3です。この差に対して、「商品内スプレッド」が課されます。6/11からの「商品内スプレッド」は、20,000円です。これによる割増額は、

  66,000= 20,000 x 3.3

になります。

 

「売最低証拠金」

SPAN証拠金は、16通りのシナリオに基づいて、明日のオプション価格のシミュレーションを行い明日の損失が一番大きくなるものを証拠金としています。ただ、ATMから大きく離れている銘柄や、売りポジションを買いポジションでヘッジしている場合など、日経平均が大きく動いても、またIVが上昇しても明日の損失額がきわめて少額にしかならないケースがあります。証拠金額があまりに少ないといろいろと不都合があるので、最低証拠金額を設定しています。以前は、「売最低証拠金」は、プライス・キャンレンジの2.5%でしたが、震災後これが改定になりました。

  「売最低証拠金」 = 日経平均株価  x 0.2%

この方式では、日経平均が下がれば下がるほど、「売最低証拠金」が下がります。プライス・スキャンレンジが36万円から39万円に増えても、日経平均が下落したので、月曜日からの「売最低証拠金」も下がるということです。すなわち、「売最低証拠金」が適用になるポジションを持っていれば月曜日からの証拠金は下がるというわけです。

 

なお、SPAN証拠金の4つのパラメータはで確認できます。(EXCELファイルをダウンロードしてください)

 

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OPMargin」 オプションの証拠金の計算、シミュレーションがEXCELでできます。

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パラメータ変更で証拠金は?2012/05/24 20:06

先週の「OPMargin」の無料開放、たくさんの方にご利用いただきありがとうございました。

 

さて、震災時の混乱の影響で大証がSPAN証拠金のパラメータ設定方法を変更した改悪(?)の影響で、証拠金が小刻みに変動します。

今週は、プライス・スキャンレンジ 36万円、ボラティリティ・スキャンレンジが4.5%ですが、これが来週からは、42万円、5.0%に上がります。先物だけをやっている人たちにとっては極めて単純明快で、証拠金が6万円上がるということです。ではオプションをやっている人たちの証拠金はどのぐらい上がるのでしょうか?

試しに、証券会社のコールセンターにでも電話して聞いてみたらどんな答えが返ってくるでしょう。実は大昔に、プライス・スキャンレンジが40万円から70万円に上がった時に、証券会社に電話して聞いたことがあります。

「単純に1.5倍とか2.0倍よりも上がると思うので注意してください。」

パラメータ変更初日、幸いにして日経平均は小動きで、やれやれと思ったのですが、引け後の証拠金を見てびっくり、売り玉が多かったせいもありますが見事に追証になってしまいました。

 

そんな経験がもとで開発したのが「OPMargin」です。その、「OPMargin」を使って、今日プライス・スキャンレンジ42万円、ボラティリティ・スキャンレンジが5.0%だったら証拠金がどうなるか計算してみました。

 

20126月限月

PC

権利行使価格

現在値

本日

来週

C

8,500

185

472,500

526,400

+53,900

C

8,750

70

317,200

371,000

+53,800

C

9,000

20

208,800

261,400

+52,600

C

9,250

6

132,300

180,300

+48,000

C

9,500

1

72,700

111,900

+39,200

C

9,750

1

44,600

71,400

+26,800

C

10,000

1

29,200

47,300

+18,100

C

10,250

1

20,500

33,000

+12,500

C

10,500

1

19,000

22,500

+3,500

P

6,500

2

20,000

20,000

+0

P

6,750

2

20,000

24,500

+4,500

P

7,000

4

29,000

43,000

+14,000

P

7,250

6

46,300

67,400

+21,100

P

7,500

10

75,400

105,800

+30,400

P

7,750

17

119,800

160,500

+40,700

P

8,000

32

185,800

234,800

+49,000

P

8,250

60

273,200

326,400

+53,200

P

8,500

135

399,600

453,600

+54,000

P

8,750

260

566,800

622,800

+56,000

 

比較表を作ってみると結構上がりますね。皆さんの備えはどうでしょうか?

OPMargin」のF予測機能を使うと、このようなシミュレーションができます。「OPMargin」にご興味ある方は、コメント欄にメッセージ入れてください(投稿しても非表示です。メールアドレスもお願いします)

 

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プライス・スキャンレンジ 570,000円?2011/08/16 17:26

昨日発表になった8/22-8/26のプライス・スキャンレンジは、570円と今週の600円から30円下がります。先週(8/8-8/12)630円でしたので、2週連続で30円ずつ下がることになります。

 

2011/08/22(月)~2011/08/26(金)   570  

2011/08/15(月)~2011/08/19(金)   600  

2011/08/08(月)~2011/08/12(金)   630

 

先週後半から落ち着いてきたとはいえ、米国債格下げショックでマーケットが荒れていたのにもかかわらず2週間連続でプライス・スキャンレンジが下がるのはちょっと変だなと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 

以前は、プライス・スキャンレンジ決定は、日経平均の変動幅をもとに決定されていたのですが、JGATE稼働以来、日経平均の変動率をベースに決定されるようになりました。このブログを前から読んでくださっている方はすでにお分かりだと思いますが、30円ずつ下がったのは、日経平均の変動率が小さくなったからではなくて、日経平均が下がった恩恵(?)なのです。

プライス・スキャンレンジ決定の方法に関してはを読んでいただくとして、現在のプライス・スキャンレンジ(PSR)は、3/14の日経平均633.94円安(-6.18211%)がベースです。これに、金曜日の終値をかけて求めます(D) 最後に、D)欄の数字を30円単位に切り上げたものがプライス・スキャンレンジ(PSR)になります。

 

A) 日付

B) 日経平均

C) PSR %

D) B)*C)

E) PSR

2011/7/29

9,833.03

6.18211%

607.8887

630

2011/8/5

9,299.88

6.18211%

574.9288

600

2011/8/12

8,963.72

6.18211%

554.1470

570

 

さて、ついでに今週金曜日発表の8/29-9/2のプライス・スキャンレンジがどうなるか占ってみましょう。万が一、日経平均が8,734.89円を下回ると、プライス・スキャンレンジはさらに30円下がります。

日経平均

VSR

9,705.44 以上

630

9,220.17 以上

600

8,734.89 以上

570

さてどうなるのでしょうか。

 

OPMargin」を使うと、金曜日に日経平均が8600円になるとオプション価格と証拠金はいくらになるかというシミュレーションができます。1週間限定の無料開放を25または26日から始めますので、皆さんぜひ使ってみてください。

 

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OPMargin」は、オプションの証拠金の計算、シミュレーションができるEXCELのプログラムです。

有料ですが、これがあれば証拠金の心配が解消します。

近日、5日間限定で無料公開を予定していますので、この機会にぜひお試しください。

OPMargin」マニュアル

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ネット・オプション・バリュー (NOV: Net Option Value)2011/05/03 12:38

久しぶりの更新になってしまいました、ブログを見に来てくださった方すみませんでした。

 

隙間風さんから下記の質問をいただいていました。隙間風さん、遅くなってすみません

「ネット・オプション・バリューがなぜオプションの値と微妙に違っているのか分かりません。時間のあるときに解説していただければ幸いです。」

 

実は、このネット・オプション・バリューの問題はとても時流にそった良い質問です。というのは、ネット・オプション・バリューの算出方法は、大証がJGATEを稼働した2/14から変更になったばかりだからです。その後東日本大震災によりちょっとバタバタしていましたので、ちょうど良い検証の機会になりました。

 

オプション価格と一言で言っても実は様々な価格が存在することをご存知でしょうか?

1)    清算値

2)    最終約定価格(15:00-15:15)

3)    最終約定価格(15:00以前)

4)    最終売り気配

5)    最終買い気配

6)  本質的価値

7)    理論価格

 

結論から言うと、ネット・オプション・バリュー(以下NOV: Net Option Value)とは清算値のことになります。清算値は大体の場合最終約定価格なのですが、上の2)3)から推測されるように、その最終価格がいつ付いたものかによって変わってきます。2)の最終約定価格が(15:00-15:15)についたものであれば、最終約定価格がそのまま清算値となります。しかし、最終約定価格が1500以前についた3)のケースですと、オプションの価格が引けまでの日経平均の変動を反映しているとはいえませんので、より実態に即した清算値を求める必要が出てくるのです。隙間風さんが言われる「微妙に違っている」ケースは、最終約定価格が1500以前のものであったと思われます。

 

実例に基づいて検証してみましょう。図は、6月限月の2011/5/2の引けの価格表です。9500円コールに注目してください。この銘柄の最終約定価格は595円ですが、約定の時間が1410です。1500以前の約定ですから、この595円は清算値とはなりません。図のスクリーン・コピーを取ったのが遅くなってしまったため、消えてしまっていますが、引けの段階では9500円コールには、売り気配625円、買い気配615円という数字が入っていました。この売り買い気配値の平均620円が、9500円コールの清算値になります。

また、清算値の算出にはあと2つルールがあります。第一のルールは、呼値単位に丸めるということです。オプションの価格が50円までは1円刻みで、50-1000円までは、5円刻み、そして1000円以上は10円刻みの呼値に切り上げます。

そして、第二のルールは、本質的価値を下回らないということです。現在の日経平均は約10,000円ですので、10,000円のプット、コールがアット・ザ・マネー(ATM: At The Money)、コールの9750円以下、そして、プットの10,250円以上がイン・ザ・マネー(ITM: In The Money)になります。ITMのオプションは、例えば今日がSQの場合、いわゆる紙切れにはならず清算の対象になります。SQ値が10,000円だとしたら

プット10,250円は(10250-10000*1000250,000円、

コール9250円は(10000-9250)*1000=750,000

の清算が生じます。この清算価値をオプションの本質的価値と呼びます。ITMのオプションにだけ適用されるルールですが、最終約定価格や最終気配値にかかわらず清算値が本質的価値を下回ることはありません。すなわち、プット10,250円の本質的価値は250円、コール9250円は750円でこれと最終約定価格(または、最終売り気配と最終買い気配の仲値)の大きい方が清算値となります。

例にあげた、9500円コールの場合、本質的価値は、(10004.20-9500)=504.20ですので、売り買い気配の仲値620円が本質的価値を上回り、清算値になっています。

 

さて、最後に理論価格ですが、大証の資料には明確に書いていないので多少飛躍してしまうかもしれませんが、1500以降の約定価格がある場合は、約定価格、約定がそれ以前の場合は最終売り気配と最終買い気配の仲値を仮の理論価格として、ブラック・ショールズ式(BS)を用いて、インプライド・ボラティリティ(IV)を逆算します(小数第7位で四捨五入し6位までに丸める)。このIVBS式に代入して、オプション価格を求めて円単位未満を四捨五入したものを理論価格としています。ややこしいだけの説明になってしまいましたが、大まかに言えば、1500以降の約定価格がある場合は約定価格、約定がそれ以前の場合は最終売り気配と最終買い気配の仲値理論価格と考えてください。

 

より深く知りたい方、根気のある方は下記のページを読んでみてください。

http://www.ose.or.jp/f/general_cms_pages/6984/wysiwyg/FuOP_yoko.pdf

http://www.ose.or.jp/f/general_cms_pages/6984/wysiwyg/OP_sansyutsu_rei.pdf

 

隙間風さん、遅くなった上にわかりにくい説明で申し訳ありませんでした。

 

さて、現在EXCELで開発中の証拠金計算プログラムですが、10日ほどで完成するのではという目途が立ってきました。モニターとしてアンケートに答えてくださった方に試作版を試していただこうと考えておりますので、ご興味ある方はコメント欄にご記入ください。なお、コメントは書いても公開されず、私の方の参考にさせていただきます。まずは、EXCEL2007 / 2010をお使いの方が対象になります。

 

アンケート2011/04/06 16:21

SPAN証拠金に関する知識を備忘のため書き留めておくのが目的でひっそりと書いていたこのブログですが、最近以前とは比べ物にならないくらいたくさんの人に来ていただいています。検索サイトから来ていただいている方の検索ワードを解析してみると

SPAN証拠金、ボラティリティ、リアルタイム、ボラティリティ・スキャンレンジ、

あたりが並びます。

これらはオプションを取引するうえで極めて重要な概念であるにもかかわらず、解説をしているサイトがあまりありません。特に、東日本大震災以降は、これらの重要性を投資家の皆さんも再認識された表れかもしれません。

恥ずかしながら今日気が付いたのですが、コメントも2件いただいていました。返信遅くなってすみませんでした。

 

私は、EXCELで作ったプログラムで、SPAN証拠金の管理をしています。証券会社の証拠金額を計算するばかりでなく、現在の自分のポジションのデルタ、ガンマ、カッパ(ベガ)、シータや適用されるシナリオもわかるようになっています。また、追加の売り買いのポジションを加えると、現金残、証拠金はどうなるかなどのシミュレーションもできます。

さらに、プライス・スキャンレンジやボラティリティ・スキャンレンジが変更したときのシミュレーション。明日、日経平均が300円下落でIVが平均3 UPすると価格と証拠金がどうなるかというような計算もできます。楽天のRSSを使えば、リアルタイムの証拠金予測値も出ます。

皆さん、こういったツールに興味があるでしょうか?

 

自分以外の方が使うとなると、改良をしなければいけないので、ここでアンケートをしてみたいと思います。

ご興味ある方は、コメント欄に下記のことを書いてください。

1) OPTION取引歴(任意)

2) 取引している証券会社

3) EXCELのバージョン 2003以前 / 2007 / 2010

4) OS

5) EXCEL VBAを使うかどうか

6) その他要望、コメントなど

プライバシーの問題もありますので、いただいたコメントは公開せず私の参考とさせていただきます。

皆様のご協力よろしくお願いいたします。

管理人 DNI

プライス・スキャンレンジ2011/03/30 08:50

月曜日に発表になったプライス・スキャンレンジが変更になって、102万円になって驚かれた方も多いかと思います。うっかりして、ここで書くのを忘れていたのですが、プライス・スキャンレンジの設定の方法が2月のSQ以降変更になっています。

以前は、値幅ベースだったものが、率になっています。プライス・スキャンレンジは、過去4週間の一番大きい値動きと、過去24週間の2番目に大きい値動きを比べて、大きい方が採用されます。具体的にいうと、過去4週間で一番値動きの大きかった、2011/3/151015.34円下落、率にして10.55393%がこれにあたります。以前でしたら、1015.34円を30円単位で切り上げした1020円ということになるのですが、新しい方式は、10.55393%に金曜日の日経平均の終値をかけて、30円単位で切り上げしたものとなっています。このため、金曜日の終値次第で、翌月曜日に発表になる、プライス・スキャンレンジが変わります。

9,536.13 x 10.55393% = 1,006.4365  切上げ --  1020

EXCELで簡単に計算するのであれば、下記のように数式を入れてください。

=ROUNDUP(9536.13*10.55393% /30,0)*30

もしくは、セルA1に日経平均の値、A210.55393%を入力して、

=ROUNDUP(A1*A2 /30,0)*30

 

なお、10.55393%は今週末、来週末の2週間継続します。それ以降は、6.18211%になる見込みです。

SPAN証拠金(6) --- 16のシナリオと証拠金の計算―2011/02/06 16:39

これまでに、説明したプライス・スキャンレンジ、ボラティリティ・スキャン・レンジという二つの主なパラメータを使って、明日起こりうるマーケットの状況をシミュレートしてSPAN証拠金を計算します

これまでに、説明したプライス・スキャンレンジ、ボラティリティ・スキャンレンジという二つの主なパラメータを使って、明日起こりうるマーケットの状況をシミュレートしてSPAN証拠金を計算します。16のシナリオに基づいて、シミュレーションして、16通りの明日のオプションの価格を計算して、今日のオプション価格と比較して、想定される最大の損失額をSPAN証拠金とします。文章の説明だけではわかりにくいので実例を基に話を進めましょう。

 

まず、16のシナリオを具体的に決定するために、プライス・スキャンレンジ、ボラティリティ・スキャンレンジの数字を調べましょう。2011/2/4の数値は下記のとおりです。

日経平均

10,543.52

プライス・スキャンレンジ

270

ボラティリティ・スキャンレンジ

4.2%

 

16のシナリオの日経平均価格とボラティリティの変動率は次の表のような組み合わせです。右側の表には実際の数字を入れてみました。

シナリオ

日経平均

ボラティリティ

 

シナリオ

日経平均

ボラティリティ

1

不変

上昇

 

1

10,543.52

+4.2%

2

不変

下降

 

2

10,543.52

-4.2%

3

1/3上昇

上昇

 

3

10,633.52

+4.2%

4

1/3上昇

下降

 

4

10,633.52

-4.2%

5

1/3下降

上昇

 

5

10,453.52

+4.2%

6

1/3下降

下降

 

6

10,453.52

-4.2%

7

2/3上昇

上昇

 

7

10,723.52

+4.2%

8

2/3上昇

下降

 

8

10,723.52

-4.2%

9

2/3下降

上昇

 

9

10,363.52

+4.2%

10

2/3下降

下降

 

10

10,363.52

-4.2%

11

3/3上昇

上昇

 

11

10,813.52

+4.2%

12

3/3上昇

下降

 

12

10,813.52

-4.2%

13

3/3下降

上昇

 

13

10,273.52

+4.2%

14

3/3下降

下降

 

14

10,273.52

-4.2%

15

極端に上昇(3)

不変

 

15

11,353.52

+0.0%

16

極端に下降(3)

不変

 

16

9,733.52

+0.0%

 

表の中の、1/3上昇とは、日経平均がプライス・スキャンレンジの1/3、すなわち90=270*1/3、上昇するという意味です。シナリオ1516の「極端に」とは、プライス・スキャンレンジの3倍、すなわち810=270*3、上昇・下降させますが、算出される損失を30%に減らしています。具体的には後程説明します。

 

ボラティリティの上昇、下降はそれぞれ、ボラティリティ・スキャンレンジの4.2%ずつの変化になります。ボラティリティは権利行使価格ごとの銘柄により異なりますので、その銘柄ごとの今日のボラティリティの値に、+4.2%または、-4.2%を加えます。仮に3月限月のプット9000円のボラティリティが27.3%だとすると、上昇のシナリオでは、31.5% = 27.3% + 4.2%、下降のシナリオでは、23.1%= 27.3% - 4.2%、不変のシナリオでは27.3%となります。

下の表に、個々のシナリオごとの計算方法をまとめてみました。

 

日経平均の変動

日経平均(想定)

計算方法

極端に上昇(3)

11,353.52

=10543.52+(270*3)

3/3上昇

10,813.52

=10543.52+(270*3/3)

2/3上昇

10,723.52

=10543.52+(270*2/3)

1/3上昇

10,633.52

=10543.52+(270*1/3)

不変

10,543.52

=10543.52+(270*0/3)

1/3下落

10,453.52

=10543.52-(270*1/3)

2/3下落

10,363.52

=10543.52-(270*2/3)

3/3下落

10,273.52

=10543.52-(270*3/3)

極端に下落(3)

9,733.52

=10543.52-(270*3)

 

ボラティリティの変動

下落

-4.2%

不変

0.0%

上昇

+4.2%

 

それでは、以下の条件に基づいて実際に計算してみましょう。

  日付:2011/2/4

  日経平均終値:10,543.52

  限月:2011/2月限

  権利行使価格:10,250円 プット

  清算値:4.55円 (終値は14円)

   インプライド・ボラティリティ (IV): 17.1%

 

Span証拠金の基本コンセプトは、明日起こりうる最大の損失額を証拠金とする、ということですから、16のシナリオに基づいて「明日の価格」を計算することがスタートポイントです。「明日の価格」は、オプションとは切っても切れないブラック・ショールズ式を使います。ブラック・ショールズ式とは何かについては経済学者の論文にお任せして、EXCELや証券会社のサイトなどを使って計算しましょう。

ブラック・ショールズ式でオプション価格の計算をするために必要なパラメータは以下の7つです。

  1) 原資産価格 (日経平均):

  2) プット・コール:

  3) 権利行使価格:

  4) インプライド・ボラティリティ (IV: Implied Volatility) :

  5) 金利率 (年率):

  6) 配当率 (年率):

  7) 残存期間:

 

シナリオ1316の具体的な数字を当てはめてみましょう。

 

シナリオ13

シナリオ16

日経平均:

10,273.52

9,733.52

プット・コール:

P

P

権利行使価格:

10,250

10,250

IV:

21.3%

17.1%

金利率 (年率):

0.14%

0.14%

配当率 (年率):

0%

0%

残存期間:

0.008219

0.008219

 

日経平均とIVに関しては、シナリオのルールに基づいて、

シナリオ13  =10543.52-(270*3/3)   17.1%+4.2%

シナリオ16  =10543.52-(270*3)     17.1%+0%

のようになります。

 

金利率は、全銀協の公表している数字で、大証から発表されるSPANリスク・パラメーター・ファイルの中に入っています。2011/2/42月限月に適用される金利率は0.14%です。配当率は、2月限月の場合、2SQ2/10まで配当落ちの日経平均採用銘柄はありませんのでゼロです。

残存期間は、取引日から2SQ2/10までの日数を365で割ったものです。今、2/4の時点で明日のオプションの価格を求めています。すなわち、2/4からみて翌営業日2011/2/7 (2/5-6は土日です)を取引日とします。2/7から2/10まで3日間で、

残存期間 = 3 / 365 = 0.008219 となります。

EXCELを使って計算したオプションの理論価格と想定される損失額は下記のとおりです。オプションの場合、単価1円は1000円に相当しますので、損失額は単価の差の1000倍になっています。

 

シナリオ13

シナリオ16

本日の価格(清算価格)

4.55

4.55

2/7の理論価格

67.79

516.38

売手の損失額

63,240

511,830

損失額の30%

---

153,549

 

シナリオ16の場合、単純な損失額は511,830円に上りますが、シナリオ15とシナリオ16の場合は、損失額に30%をかけたものにするというルールがありますので、30%を乗じると153,549円となります。想定される損失額は、シナリオ1363,240円、シナリオ16153,549円ですので、シナリオ16の損失額の方が大きくなります。

 

本来であれば同様にシナリオ1から16まですべて想定損失額を計算しなければいけないのですが、結論から言いますとプットの場合は、シナリオ13かシナリオ16のいずれかの損失額が最大になります。一方、コールの場合はシナリオ11かシナリオ15の損失額が最大になります。これはシナリオのテーブルをじっくりと眺めていただければご理解いただけると思います。プットの場合は、価格が大きく下落して、IVが大きく上昇するのが、売り手にとって最悪のシナリオです。コールの売り手にとっては、価格が大きく上昇、IVが大きく上昇という組み合わせが損失が膨らむパターンです。

 

2011/2/42月限月 10,250円プットの2/7に最大の損失になるのはシナリオ16で、損失額は153,549円となります。Span証拠金では、この153,549円を100円単位に丸めた153,500円をスパンリスク(Span Risk)、スパンリスクに2/4の清算値(ネットオプションバリュー: Net Option Value) 4.55円、金額は1000倍にした4,550円を足した158,050円が10,250円プットの証拠金となります。

Span証拠金、オプションに関する、ご質問等お待ちしています。一緒に研究、検証しましょう。

証拠金管理プログラム「OPMargin」やExcel VBAの質問も待っています。

 

お時間ありましたら、過去ログ読んでください。興味深いものがありますよ。

http://bigsnapper.asablo.jp/blog/2011/05/26/5881297

 

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