SPAN証拠金実例分析 -- シナリオ17 ― 2011/04/14 12:01
はちさんから次のようなコメントをいただきました。
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例えば、6月限
10500 CALL 50円 2枚 売ると証拠金が、1,918,200円
ヘッジの買いを入れると、
10750 CALL 24円 1枚 買うと証拠金は、1,050,900円
10250 CALL 100円 1枚 買うと証拠金は、844,300円
これは分かりますが、
12000 CALL 1円 9枚 買うと証拠金は、127,000円
たった9円で、これだけ減らす事が出来ます。
しかし、
12000 CALL 1円 10枚 買うと証拠金は、134,800円と増えるんです。。。
なんか変ですよね。
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ご質問のタイミングから、4/12のSPAN証拠金をもとに検証してみました。
まず、>12000 CALL 1円 10枚 買うと証拠金は、134,800円と増える
ここだけ私の計算では、124,000円になるので違いがありますが、それ以外の証拠金の数字は一致しました。
1 10500 CALL 50円 2枚 売ると証拠金が、1,918,200円 ---> シナリオ11
Span Risk 1,818,200円 – (Net Option Value: –100,000円) = 1,918,200円
10500 CALLの清算値は50円 Net Option Value -100,000円=-50円*2*1000
2 1に加えてヘッジの10750 CALL 24円 1枚 買うと証拠金は、1,050,900円 ---> シナリオ11
Span Risk 977,900円 – (Net Option Value: –73,000円) = 1,050,900円
10750 CALLの清算値は27円 Net Option Value 27,000円=27円*1*1000
Net Option Value -73,000円= –100,000円 + 27,000円
3 1に加えてヘッジの10250 CALL 100円 1枚 買うと証拠金は、844,300円 ---> シナリオ11
Span Risk 977,900円 –( Net Option Value: –73,000円) = 1,050,900円
10750 CALLの清算値は27円 Net Option Value 27,000円=27円*1*1000
Net Option Value –73,000円= – 100,000円 + 27,000円
4 1に加えてヘッジの12000 CALL 1円 9枚 買うと証拠金は、127,000円 ---> シナリオ17?
Span Risk 54,000円 – (Net Option Value: –73,000円) = 127,000円
12000 CALLの清算値は3円 Net Option Value 27,000円=3円*9*1000
Net Option Value –73,000円= –100,000円 +27,000円
さて、数式ばかりでちょっととごちゃごちゃしていますがよく見てください。これが証拠金額の根拠です。
1、2、3ともシナリオ11(日経平均がプライス・スキャンレンジの3/3上昇、すなわち1050円上昇して10,605.26円で、ボラティリティが31.1%上昇)の場合このポジションの最大損失額になることから、この最大損失額がSpan Riskとなっています。ここまでは同じシナリオですので、はちさんのコメントのニュアンスからもわかる通り想定内の動きです。
しかし、4の場合シナリオ17になります。
「うそつき、シナリオは16迄だ!」という罵声が聞こえてきますが、実はわたくしが命名したシナリオ17が存在するのです。
4の場合、シナリオ11のSpan Riskが-272,140円になります。マイナスということは、このポジションから利益が出るということです。わずか清算値3円の12000 CALLですが、日経平均が1050円上昇して10,605.26円になり、かつボラティリティも31.1%上昇すると、10500 CALL 50円 2枚売りから出る損失を上回る利益を出すのです。実際にこの4のポジションのシナリオ1から16までのSpan Riskはすべてマイナス、すなわちどのシナリオでも利益が出ます。
ここで登場するのが、売最低証拠金です。
http://www.ose.or.jp/market/about_trading/span_parameter_setting
のEXCELファイルを開いてみると、普段見ない一番左端に
売オプション1単位 |
当たりの最低証拠金額 (円) |
27,000 |
とあります。
これはいかなる場合でも、オプションの売り1枚当たりの最低の証拠金は27,000円ですよ、という意味です。4のポジションも12000 CALLの買いでヘッジしているとはいえ、10500 CALLを2枚売っているので、Span Riskは、54,000円 = 27,000*2 になります。これがどこにも書いていないシナリオ17です。
ちなみに、12000 CALLの代わりに12250 CALLでもシナリオ17になり同じ効果があります。また、12000 CALLを9枚売らなくても5枚でシナリオ17になります。
ただこのヘッジには注意が必要です。日経平均が1050円上昇して10,605.26円になり、かつボラティリティも31.1%上昇するという通常では考えられないパラメータ設定だからこそ、12000 CALLの値上がりが威力を発揮することを忘れてはいけません。4/25以降、プライス・スキャンレンジ / ボラティリティ・スキャンレンジが下がると、シナリオ11に逆戻りです。
また、10,605.26円から見ても12000 CALLはアウト・オブ・マネーです。日々、時間的価値が低減して、そのヘッジ機能も威力が低下していきます。
さて、ほかにも質問をいただいていますが、回答しばしお待ちください。
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